裁判傍聴記②:傍聴がきつかった事件
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裁判傍聴記②
2件目の傍聴は、強制わいせつ事件
強制わいせつとは、暴行・脅迫を用いてわいせつな行為を働いた場合に問われる犯罪で、
懲役刑しか設けられていない、重い犯罪です。
強制わいせつといえば、痴漢などが挙げられるかと思います。
2件目に傍聴しようと決めたのが、強制わいせつ事件です。
まぁ、こういったわいせつ事件を傍聴する人の中には、不純な気持ちで
傍聴している人も多くいることでしょう。
興味がないといえば、嘘になります。
ただし、今回は(今回しか知りませんが)何とも言えない重い事件でした。
いや、被害者にとって、性犯罪はいつだって重い事件なのです。
それが例え公然わいせつなんかであっても。
かなりきつかった強制わいせつ事件の傍聴
法廷に入ると、1件目とは打って変わって、傍聴席は間もなく満席というほど
人が入っていました。
そういや何かの本でも、性犯罪は傍聴人が多いといっていたことを思い出しました。
事件の概要
- 法廷にいた被告人は、スーツ姿30代の男性。
- 起訴状は、強制わいせつ事件
- 被告人は、当時10歳の少女を「殺す」と脅し、わいせつな行為を行った
- 被害者とは示談済み、被告人は引っ越しをしている
- 再犯防止のために、性依存のクリニックに通院中
内容は、陰部に触れた、DNA検出・スマホで撮影しようとしたなどから
想像するしかありませんが、この時点で、心が痛みました。
被告人はお決まり?のように謝罪の言葉を述べていました。
「じゃあ何でやったんだ?」としか思えないのは当たり前の感情でしょう。
証拠調べ後、弁護人から証人や被告人に質問が行われました。
証人尋問で法廷に立った女性
証人尋問で法廷に立った女性は、被告人の奥さんでした。
弁護人が、逮捕の知らせを受けてどう感じたか、女性に質問すると、
女性は、言葉を詰まらせ、
「嘘であって欲しい、夢であってほしいと思いました」
と小さく答えました。
被告人は、静かに聞いており、一見すると反省しているようにも見えました。
- 奥さんは、旦那が保釈されてから、GPSで居場所を特定して、被告からも居場所を連絡する事で再犯を防止
- 上記の通りクリニックにも通院
- この事件は、示談金200万円を支払っている
- 夫婦は事件を起こした地域から既に引っ越している
さらに、奥さんは子供を妊娠しており、間もなく臨月となるところでした。
違和感を覚えた被告人質問
次に行われた被告人質問では、被告人が犯行を行った動機は、
子供に対する異常な性衝動であるなどが明らかとなりました。
検察官は、
- 事件当時、被告人はジムに出掛けると言って、何時間も外出しており
- 証言とマンションの防犯カメラの時間が合致していない
- 証言と時間の食い違いなどから、少女を物色していたのではないかなど
初犯である点に疑問を抱いているようでした。
被告人も反省していると言いつつも、質問に対して
質問の意図を読んで返答している感じはなく、
話が通じない人間特有の感覚があるように感じられました。
結局、被害者がどういう辛い気持ちになるのか
想像力がないというか、感情が欠落しているというか
そういったことも原因だったのではないかと、感じました。
これは、性犯罪をする人間全てに言えることでしょう。
被害者がどんな苦しみ・悲しみを感じるか理解すらできないから
想像すらできないから
犯罪をするに違いないのでしょう。
最後に、被害者の人生に影響を与えるかもしれない、
申し訳ないと被告人は述べていましたが、
子供が生まれるかもしれない人間のすることではありません。
「自覚がなかった」「被害者が可愛いから、無防備だから後をつけた」
呆れるしかありませんでした。
検察官と弁護人の印象
本件は審理でしたので判決は10月となるようです。
隣に座っている人がいやに、ペンを走らせていましたが
どっかでニュースになるのか、はたまた学生なのか・・・
検察官と弁護人は、どちらもやり手といった印象を受けました。
事件が事件なので、検察官は厳しく追及していました。
一方弁護士は、かなり慣れた様子で淡々としていましたが
強制わいせつ事件で示談金を200万円支払ったというのは
この弁護士の交渉力もあったのではないかと個人的に思いました。
事件内容も悪質ではありますが、相場は50~150万円と
聞いたことがあったからです。
悲惨な性犯罪は今日もどこかで起きている
一緒に傍聴に行った相手は、強制わいせつ事件の悲惨さに
言葉を失っていました。
私も同様で、被害者はさぞかし、怖い思いであっただろうと想像し、
そして、それが今後の人生に大きい影響を与えるであろうことを考えると
可哀想に感じました。
大人であっても、痴漢に遭っただけでも怖いのに。
これは、誰の子供にも起きうる事件で、無関心でいることはできないのではないでしょうか。
被害者は直接の被害者だけではありません。
被告の奥さんと、お子さんも同様でしょう。お子さんのために
離婚しない道を選び、更生させると誓った奥さんですが
私は、被告人が改心するとも思えませんし、結果離婚に至る気がしています。
検察官とのやり取りを見ていて、こんなにも相手の質問意図を理解したり
読んだりできない人間に、更生なんてできるのだろうか、と
感じました。
そして、こんな胸糞悪い事件が、今日もどこかで起きているのです。
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